2014年10月6日月曜日

第48回日本てんかん学会学術集会

さる2014年10月2日から3日の2日間、第48回日本てんかん学会学術集会が東京京王プラザホテルにて開催されました。小出は3日朝のモーニングセミナーにて「成人の進行性ミオクローヌスてんかん」というテーマを主催者から頂戴し、講演を行いました。

進行性ミオクローヌスてんかんは、てんかん発作とミオクローヌスという手足が一瞬ぴくっと動くような不随意運動、運動失調(体のバランスが取れなくなったり、力はあるのに器用に使えなくなったりすること)、認知や知能の面での障害などを特徴とするてんかんです。この名前は大きな疾患のグループを示すもので、それぞれの症状の程度や経過などによって、さらにさまざまなタイプに分けられています。人種差があることも知られており、ウンベルリヒト・ルンドボルグ病というタイプのものはヨーロッパでは一般的ですが日本ではごくまれで、日本に多い歯状核赤核線条体ルイ体萎縮症はヨーロッパでは極めて珍しいタイプとされています。外来の初診患者さんの数が累計4万人に近づいている静岡てんかんセンターでも、進行性ミオクローヌスてんかんの患者さんはこれまでに疑いも含めても50人前後しかいないようです。

ただ患者さんはごく少ないのですが、きちんとこうした患者さんを見つけることで、その方の経過や治療への反応性などをある程度予想できるため、てんかんを診療する医師の知識としては非常に重要といえます。

私は静岡てんかん・神経医療センター在職中に10人前後の患者さんを診療させて頂きました。しかしなかなかこうした希少な疾患は医師も経験する機会が少なく、治療などの全体像を把握するのが難しくなっています。

今後は全国的にこうした患者さんの疾患についてのデータを登録し、治療の進歩につなげようとするシステムの構築が予定されています。治療に難渋されることも珍しくないこうした患者さんにとってよい治療などが見つかる第一歩になってほしいと願っています。

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