2015年1月14日水曜日

てんかんを公表している著名人⑨ Susan Boyle(Singer,1961~)

当院ではてんかんは小学生以上のお子さんを診療させて頂いておりますが、時々、「子供にはてんかんだと言ってないんです」と、診断をお子さんには伝えていないと仰る親御さんがいらっしゃいます。お子さんがショックを受けないように、という配慮なのですが、これは実はあまり良いことではないと考えます。

インターネットなどでてんかん患者さんの医療相談をみていますと、「小学校の頃に親と一緒に時々病院に行って、赤いシロップ剤をもらってたんです。何で病院に行くのかわかんなかったんです。親も何も言ってくれなくて。今は治療も何もしてないんですけど、あれって実はてんかんだったんじゃないかって・・・。今なにもしてないけど、大丈夫なんでしょうか?自分の子供にも同じようなことがあるんでしょうか?」といった質問を目にします。文面からおそらく小児期に自然に治癒するタイプのてんかんだったのではないかと思われますので、この場合もちろん治療も必要はありません。きちんとした説明を受けていないがゆえに、あとで無用な心配をしなくてはならないということになっているわけです。

親御さん自身にてんかんに対する偏見があり、また子供のことを心配するあまりに真実を全く伝えずに治療をする、ということがまだまだある現状に対し、相手が子供であっても病気の本質、治療の見通しなどを、きちんと説明することの大切さを訴えていきたいと思います。

Susan Boyle(1961~)は2009年のTVオーディション番組で、ミュージカル:レ・ミゼラブルの挿入歌”I Dreamed A Dreamを歌い、大好評を得てアルバムはグラミー賞にノミネートされるなど、一躍スターの仲間入りをしました。日本でも同年の紅白で歌っていたことを思いだします。Susanは小児期にてんかんがあったことを告白していますが、以下のインタビューの中で「私は両親によって真綿にくるまれるように守られていた」とし、両親はそのことを正しいと信じていたと述べています。両親や周囲の人の偏見を打ち破るのは簡単なことではなかった、という感想は、きちんとした知識を親が持ち、子供にもきちんと説明することの重要性を示唆しているように思います。

http://hub.contactmusic.com/news/susan-boyle-reveals-battle-with-epilepsy_1274310

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