2015年2月14日土曜日

花粉症と薬の飲み合わせ

本日もそうですが最近になり、「花粉症の薬を下さい」とおっしゃる方が増えてきております。スギ花粉にアレルギーをお持ちの方はそろそろ嫌な季節が来つつあるようですね。本日おみえの方からは「花粉症の薬と、今飲んでいるてんかんの薬の飲み合わせは大丈夫ですか?」と質問がありました。

抗てんかん薬を服用している方について、飲み合わせはよく話題にあがるポイントですが、基本的な考え方としては「注意したほうがいいものはあるけど、絶対に飲んではいけないものはさほどない」ということになるかと思います。

抗てんかん薬を服用している方で他の薬を服用する際に問題になるパターンは二つありまして、

①その薬がてんかんの薬との相互作用があるので摂取しないほうがいい
②薬とは関係なく、てんかんをお持ちの方は服用する場合は発作が悪化しないかどうかなど注意したほうがいい

というパターンですね。

①はたとえばデパケンやセレニカなどのバルプロ酸を服用している方は、カルバペネム系の抗生物質を使用しないほうがいいことが知られています。これはこのタイプの抗生物質がバルプロ酸の血中濃度をかなり低下させるために、発作が起こりやすくなることがあるためです。実際にバルプロ酸を服用しているてんかんの方が、肺炎で入院してメロペンを点滴したら発作が群発した、といった方をみたことがあります。経口避妊薬などもある種の抗てんかん薬の血中濃度を極端に下げてしまいます。抗生物質などは他に選択肢がたいていありますので、普段のお医者さんにかかる場合には服用しているお薬をきちんと申告することでこうした状況を避けることができます。

②はいわゆる発作の閾値を下げる(発作を起こしやすくする)薬です。抗うつ薬の一部や、抗生物質の一部など多くの薬にそうした作用があることが知られています。花粉症の薬としてよく用いられる抗ヒスタミン薬などにもそうした作用があると言われています。

ただ、②の場合は他に選択肢がない場合もあります。抗ヒスタミン薬などはどの薬にもてんかんの方には注意するように書かれていますが、では使わないでいられるか、といえば、ないと困る方がたくさんいますので使用しないわけにはいかないこともあります。こうした場合はできるだけ眠気などてんかん発作を悪化させる要因が出にくい薬を選択します。ただ、どの薬が眠気が少ないか、というのもおなじ抗ヒスタミン薬でもかなり個人差がありますので、使ってみないとわからないというのも事実かと思います。

では使って実際に悪いことが起こるか、というと、ほとんどの場合は何ら問題ありません。花粉症の症状が悪くて鼻閉で夜も眠れない、といったことがあれば、薬の影響よりもむしろ花粉症の症状が悪いことのほうが影響が大きいでしょう。このあたりのバランスを考えたさじ加減が大切です。

服用している薬との飲み合わせや「この薬飲んでもいいのかな?」というようなことがあれば、いつでもご連絡頂ければお答えいたしますが、基本原則の「注意したほうがいいものはあるけど、絶対に飲んではいけないものはさほどない」を頭において、不安になりすぎないようにしましょう。

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