2016年3月28日月曜日

南大阪Transitional case Meeting in epilepsy

寒暖の差が激しい日が続きますね。ただ大相撲春場所が終わり、プロ野球が開幕。いよいよ春が来たという感じがします。

3月26日(土)大阪府立急性期医療センター、大阪府立母子保健総合医療センターの先生方と、「南大阪Transitional case Meeting in epilepsy」というタイトルの会合をもつ機会がありました。私は「てんかんをつうじて:小児神経科と神経内科をつなぐもの」という講演をさせていただきました。

この会合の目的は、小児期からずっとてんかんの治療を受けてきている患者さんが成人期に達した時、どのような問題が生じ、成人を診る科の医師がどう関わるべきなのか、という問題について話し合うことでした。実際に全国各地でこの問題はクローズアップされており、この会合は先進的な取り組みではないかと思います。

小児神経科の先生からは、たとえば小児期から診ているてんかんを持つ重度脳性麻痺の患者さんが、成人期になって成人の問題、たとえばがんを発病する、といった場合に受け入れを断られてしまうケースがある、というお話がありました。

静岡のてんかんセンターに在籍しているとき、重症心身障害の方の病棟も担当しておりましたので、私には小児神経科の先生のおっしゃっていることが非常によくわかりました。重症心身障碍者の患者さんの治療を一手に引き受けているのは現状では年齢にかかわらず小児科の先生です。重症心身障碍者施設などでは、ほとんどが成人期に達した患者さん、という場合も少なくはなく、私も自分の患者さんが腸閉塞になったりした際、近隣の病院で入院をお願いするようなケースが何度かありました。さいわいほとんどの紹介先の先生はこころよく診療を引き受けてくださいましたが、てんかんを持っている人は、とか、重症心身障碍者の患者さんはちょっと・・・という対応をされるケースもありました。

これは成人科の先生にとって、重症心身障碍者の方はほぼ未知の領域であり、経験したことがないものへのおそれもあったのだろうと今は思います(当時はがっかりしましたけれど)私の講演はそのあたりも踏まえて、小児神経科や神経内科、脳神経外科、精神科など、てんかんにかかわる全ての診療科の医師が、お互いの領域について少しだけ知識を持っているだけで、てんかんの診療が少し豊かで楽しいものになるかもしれない、というお話をさせていただきました。

てんかんセンターにいますと、小児のてんかん患者さんも成人のてんかん患者さんもあまり分け隔てなく診療する機会があります。乳幼児はご専門の小児神経科の先生が診療されるべきと考えますが、学童期以降のてんかん患者さんを数多く診療することができたことは、今の自分の大きな糧となっています。小児神経科の先生と親しくお話する機会があったことも、てんかんについて幅広い視点から考えるためにとてもよかったと感じます。

幸いこの会はとても参加者にとって好評であったようで、今後も継続される予定とお伺いしました。行き場のない患者さんと、その患者さんを担当して苦慮する小児科の先生の助けに少しでもなれればと思います。

ちなみにこの日は先日から何度かご紹介しているPurple Dayでしたので、スライドの一枚目にそのご紹介を入れさせていただきました。


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