2017年9月26日火曜日

神経疾患を語る会

9月25日(月)は大阪赤十字病院と富永病院の神経内科の先生方を中心に定期的に行っておられる「神経疾患を語る会」でお話をさせていただきました。

今回も問診が最重要である、という話をしたのですが、お若い先生から「問診が重要だとはてんかんを専門にしている先生は皆さんおっしゃるのですが、どうしていいかわからないのです。何かコツはありますか?」というご質問をいただきました。

こればかりはなかなか一言でお答えすることが難しいのですが、自分がしていることを振り返ると、まずいつごろからどんな症状があり、今ある症状は何なのか?ということをはっきりさせます。これがはっきりしないと、そもそもその方がてんかんなのかどうか?てんかんであればどういうタイプの発作を持っているのか?ということがわかりません。この部分の問診は十分に時間をかけて行います。患者さんの目の前で発作の真似をして見せることもあります。「そう!まさにそれです!」と言われたときは名優になったような気がしてうれしくなってしまいます(笑)

それからこれまでに他に病気はなかったか?(既往歴)、ご家族に何らかのご病気をお持ちの方はおられるか?(家族歴)、喫煙や飲酒の有無(嗜好)、生まれた時の情報(出生歴)、首がいつ座ったか?といった乳幼児期の発達の問題の有無、学歴や職業歴、運転免許の有無や運転の状況、現在使っている医療や福祉の制度などの情報を順に聞きます。これには初診時には問診表を使います。

1回しか症状がない方などを除けば、ここまでで40分~1時間ぐらいは時間がかかります。それぐらいは時間をかける必要がどうしてもあるからですね。それから脳波の検査をします。必要に応じてMRIなどの検査も提携先で受けていただくようにしています。

これらの情報を総合して、その方がどういうてんかんを持っていて、どんな治療を受けてもらうのがよいか、といったことを一緒に考えていくことになるわけです。

これは書くと簡単なことですが、確かに経験がいるだろうとは思います。私も最初はてんかんセンターの諸先生方の問診を横で見ていました。先生によっていろいろとスタイルはありますが、きちんと聞くべきことは聞き、病状を明らかにする、というのは当然皆さん同じでした。その中から今の問診のスタイルができていったのです。

そこでご質問に対しては上に描いたような基本的な内容についてお話ししたうえで、できればてんかんに詳しい先生の問診を何度か見せてもらうのがよいのでは?とお伝えしました。静岡など大規模なてんかんセンターを若い先生が見学する意義はとても大きいと思います。

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